地域で事務所を探す人の多くは、地図の検索結果から事務所を比べます。そこに表示されるのが Google ビジネス プロフィールです。事務所の名前・住所・電話番号・営業時間・クチコミが一か所にまとまるため、ホームページと並ぶ、紹介以外の入口になります。

ただし、ビジネス プロフィールには Google のガイドラインがあり、守らないとプロフィールが停止されることがあります。士業事務所で特に確かめたいのは、住所(バーチャルオフィスやコワーキング スペースの扱い)ビジネス名に入れてよい情報個人専門家としての扱いクチコミの依頼のしかたの4つです。さらに、クチコミへの返信には士業法の守秘義務がかかります。

以下、Google のヘルプページと士業法の条文にもとづいて整理します。


1. 最初に、住所の条件を確かめる

Google の「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」は、顧客が訪れることのできる実在の拠点、または顧客のいる場所に出向くことができるビジネスが、ビジネス プロフィールを作成できるとしています。住所については次のように定めています。

状況ガイドラインの定め(要旨)
バーチャルオフィス郵送先住所を借りており、その住所では実際にサービスを提供していない場合は、ビジネス プロフィールを利用できない
コワーキング スペースわかりやすい看板が常に設置され、営業時間中に顧客対応できるスタッフが常駐している場合を除き、登録できない
私書箱遠隔地にある私書箱は使用できない
看板住所を掲載する場合、その住所にビジネスの名称の掲示を常設する必要がある
顧客のもとへ出向く業態住所を非表示にして、サービス提供地域を指定する
拠点ごとのページ1つの拠点について複数のページを作成できない

士業の事務所は、士業法で1か所に限られ、名簿に登録した所在地があります(事務所の決まりは士業の開業・独立の流れで整理しています)。ビジネス プロフィールの住所は、登録した事務所の所在地と一致させるのが基本です。

自宅を事務所にしていて、来所の相談を受けず、顧客のもとへ出向く形で業務をしている場合は、住所を非表示にしてサービス提供地域を指定する形が考えられます。


2. ビジネス名・カテゴリ・連絡先

ビジネス名

ガイドラインは、実際のビジネスで一貫して使用し、看板やビジネスレターなどで認知されている名称を使うよう求め、ビジネス名に不要な情報を含めるとプロフィールが停止される場合があるとしています。名前に追加できない情報の例として、次のものが挙げられています。

追加できない情報士業事務所での例
マーケティングのタグライン「◯◯税理士事務所|相続に強い」
営業時間の情報「◯◯行政書士事務所 土日も対応」
電話番号やウェブサイトの URL事務所名のあとに電話番号
社名と直接関係のない特殊文字や法的用語実際の名称にない記号

事務所名は、士業の名簿に登録した事務所の名称、看板、名刺と一致させます。

カテゴリ

ガイドラインは、中心となる事業内容を示すカテゴリを、できるだけ具体的に、可能な限り少なく設定するよう求めています。カテゴリは「事業に何が含まれるか」ではなく「事業が何であるか」で選び、キーワードそのものや、事業の属性を示すカテゴリは使わないこととされています。取り扱う業務の一覧は、カテゴリではなくビジネスの説明やサービスの欄に書きます。

電話番号・ウェブサイト・営業時間

項目ガイドラインの定め(要旨)
電話番号個々のビジネス拠点に直接つながる番号を指定する。追加料金のかかる電話番号は使用できない
ウェブサイト実際のビジネスのウェブサイトとは異なるランディング ページに誘導する URL は指定できない
営業時間顧客に対応可能な通常の営業時間を入力する。完全予約制のビジネスなどは営業時間を指定しない

ウェブサイトの欄には、事務所のホームページを指定します。ホームページに載せる情報は士業事務所のホームページに載せる情報で整理しています。

ビジネスの説明

ガイドラインは、ビジネスの説明に、提供しているサービスや沿革などの有用な情報を入れるよう求める一方、特別キャンペーンや特別料金を過度に強調するコンテンツリンクは含めないこととしています。取り扱う業務と対応する地域、相談の方法を簡潔に書きます。


3. 個人専門家としてのプロフィール

ガイドラインには、「個人専門家」についての追加の決まりがあります。個人専門家とは、対外的に専門業務を行い、通常は独自の顧客層を抱える専門家で、ガイドラインは医師・歯科医師・弁護士・投資顧問・保険代理人・不動産仲介士などを例に挙げています。士業の資格者もこれに近い立場と考えられます。

状況ガイドラインの定め(要旨)
専用のプロフィールを作れる人対外的に専門業務を行う専門家本人で、オーナー確認された事業所で営業時間内に本人に直接連絡が取れること
サポート スタッフ自分のビジネス プロフィールを持つことはできない
専門分野ごとの複数のプロフィール1人の専門家が専門分野ごとに複数作成することはできない
同じ事業所に複数の専門家がいる場合運営組織が事業所のプロフィールを作成し、専門家のプロフィールには専門家の名前のみを含める
ブランドを冠した組織の唯一の専門家組織のプロフィールを共有することが勧められ、「[ブランド名 / 会社名]: [専門家名]」の形式で1つ作成する

所長1人の事務所なら、事務所として1つのプロフィールにまとめるのが分かりやすい形です。複数の資格者がいる事務所で、資格者ごとのプロフィールを作る場合は、事務所のプロフィールと名前を分けます。補助者・事務職員の個人のプロフィールは作れません。


4. クチコミの募り方

Google の「禁止または制限されているコンテンツ」(マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー)は、クチコミは実体験に基づき、誠実かつ公平なものでなければならないとしています。事業者に関係する決まりは次のとおりです。

区分ポリシーの内容(要旨)
禁止クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、インセンティブ(金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなど)を提供する
禁止否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に募ったりする
禁止その場で評価やクチコミを書くよう要求・強要する、特定の内容を含めるよう依頼する
禁止一定数のクチコミを募るようスタッフに要求する
削除の対象利益相反に基づくコンテンツ(現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係など)
許可インセンティブを提供したり内容に影響を与えようとしたりせずに、実体験に基づく投稿を募ったり促したりする

士業事務所に当てはめると、次のようになります。

  • 顧問料の割引や無料相談と引き換えに投稿を頼まない
  • 満足していそうな依頼者だけを選んで頼まない(業務の完了時に、全員に同じ案内をする)
  • 書く内容を指定しない
  • 職員や家族、取引先に投稿を頼まない

また、景品表示法のステルスマーケティングの告示について、消費者庁の運用基準は、事業者が第三者に口コミサイトなどに自らの役務の表示をさせる場合は、事業者の表示になるとしています。投稿の内容を依頼・指示することは避けてください(詳しくは士業事務所のホームページに載せる情報)。


5. クチコミへの返信と守秘義務

クチコミへの返信は、事務所の対応を知ってもらう機会になりますが、士業法の守秘義務がかかります。税理士法第38条、社会保険労務士法第21条、行政書士法第12条は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。

返信で避けること理由
投稿者が依頼者であることを認める書き方依頼の事実そのものが秘密に当たることがある
依頼の内容や経過に触れる業務上知り得た秘密を漏らすおそれがある
否定的なクチコミへの反論で事情を説明する反論のために秘密を明かすことになりやすい

返信は、「ご意見ありがとうございます。いただいた内容は事務所で共有し、今後の対応に生かします」のように、個別の事情に触れない形にします。個別の対応が必要なら、事務所への連絡を案内します。

また、ガイドラインは、プロフィールで個人情報や機密情報を要求することを禁止しています。返信で依頼者の連絡先や書類を求めないようにします。守秘義務の範囲は顧問先の情報の扱いで整理しています。


6. チェックリスト

  • 事務所の住所がガイドラインの条件(バーチャルオフィス・コワーキング スペース・看板)を満たしている
  • 住所を登録した事務所の所在地と一致させた(出向く業態なら住所を非表示にした)
  • ビジネス名に、看板や名刺と同じ事務所名だけを入れた
  • 中心となる業務のカテゴリを、少なく具体的に選んだ
  • 事務所に直接つながる電話番号と、事務所のホームページを入れた
  • ビジネスの説明に、業務・地域・相談の方法を書き、料金の強調やリンクを入れていない
  • クチコミの案内は、業務の完了時に全員に同じ文面で行い、見返りや内容の指定をしていない
  • クチコミへの返信の文面を決め、依頼の事実や内容に触れない形にした

7. まとめ

  • バーチャルオフィスではビジネス プロフィールを使えず、コワーキング スペースは看板と常駐スタッフが条件。住所を掲載するなら名称の掲示を常設する
  • ビジネス名は看板や名刺と同じ名称だけにし、宣伝文句や電話番号を入れない
  • 個人専門家は本人だけがプロフィールを持て、補助者は持てない。所長1人の事務所は1つにまとめる
  • クチコミの見返りの提供、選択的な依頼、内容の指定は禁止されている
  • クチコミへの返信では、依頼の事実や内容に触れない。士業法の守秘義務がかかる

ガイドラインとポリシーは変更されることがあります。設定を変えるときは、Google のヘルプの最新のページを確認してください。

参考資料