紹介に頼らずに依頼を受けるには、事務所を知らない人が「この事務所に頼めるか」を判断できる情報をホームページに載せる必要があります。士業のホームページで判断の材料になるのは、デザインよりも、誰が・どの業務を・いくらで・どの範囲まで引き受けるかです。

一方で、載せ方には決まりがあります。料金や実績の表示は景品表示法の不当表示の規制を受け、令和5年10月1日からは、広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)も同法の違反になりました。士業法には名称の使用制限と守秘義務があり、問い合わせフォームで個人情報を受け取るなら個人情報保護法の決まりもかかります。

以下、載せる情報と、載せ方の決まりを順に整理します。


1. 最初に、所属する会の決まりを確認する

公正取引委員会の「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」は、資格者団体について、法律上「会員の品位の保持に関する規定」が会則記載事項とされており、これを主な根拠として、会則などで広告に関する自主規制を行っていると説明しています。

同じ文書は、団体が会員の広告の媒体・回数・場所・内容などを制限して需要者の正しい選択に資する情報の提供を妨げることは独占禁止法上問題となるおそれがあるとする一方、事実に合致しない広告、誤導・誤認のおそれのある広告、過去の依頼者を表示した広告(依頼者の同意がある場合を除く)を禁止するといった、需要者の正しい選択を容易にする規制は原則として問題とならない例として挙げています。

ホームページを作る前に、所属する会の会則と広告に関する規則を確認し、禁止されている表示がないかを確かめてください。


2. 載せる情報の一覧

区分載せる情報載せる理由
資格者氏名、資格、所属する会依頼者が資格者であることを確かめられる
事務所名称、所在地、連絡先、営業日事務所は1か所に限られ、登録された所在地と一致させる
業務取り扱う業務と、取り扱わない業務依頼の前に対応できるかを判断できる
料金業務ごとの料金と、料金に含む範囲依頼後の食い違いを防ぐ
進め方相談から契約、業務開始までの流れ最初の問い合わせの心理的な負担を減らす
問い合わせフォームや電話の窓口、返信までの目安問い合わせの方法が分かる
個人情報利用目的と、保有個人データに関する事項個人情報保護法の決まりに沿う

事務所の所在地は、士業の名簿に登録した所在地と一致させます。開業の登録の流れは士業の開業・独立の流れで整理しています。

名称の使用制限に注意する

各士業法は、資格者でない者が資格の名称や紛らわしい名称を使うことを禁止しています。

士業条文定めの要旨
税理士税理士法第53条税理士でない者は、税理士・税理士事務所またはこれらに類似する名称を用いてはならない
行政書士行政書士法第19条の2行政書士でない者は、行政書士またはこれと紛らわしい名称を用いてはならない
社会保険労務士社労士法第26条社会保険労務士でない者は、社会保険労務士・社労士その他これに類似する名称を用いてはならない

スタッフ紹介のページでは、資格を持たない職員の肩書きが資格者と紛らわしくならないようにします。


3. 料金の表示

料金は範囲とあわせて載せる

料金だけを載せて、料金に含む業務の範囲を書かないと、依頼後に「その作業は別料金です」という食い違いが起きます。業務ごとに、料金・含む作業・含まない作業・追加料金がかかる条件をまとめて載せます。料金表の作り方は顧問料の決め方で整理しています。

行政書士法第10条の2は、行政書士に報酬の額を事務所の見やすい場所に掲示することを求めています。ホームページへの掲載は同条の義務ではありませんが、掲示している料金とホームページの料金は一致させておきます。

有利誤認・優良誤認にならないように

景品表示法第5条は、事業者が自己の供給する役務について、次の表示をすることを禁止しています。

区分禁止される表示(条文の要旨)士業のホームページで気をつける例
優良誤認(第1号)役務の内容について、実際のものや他の事業者のものよりも著しく優良であると示す表示根拠のない「地域No.1」「専門家が多数在籍」
有利誤認(第2号)価格その他の取引条件について、実際のものや他の事業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示「業界最安」「顧問料◯円〜」で、実際にはほとんどの依頼が追加料金になる
指定告示(第3号)そのほか、内閣総理大臣が指定する誤認されるおそれのある表示広告であることを隠す表示(次の節)

同法第7条第2項により、消費者庁は優良誤認に当たるかを判断するため、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出しないときは不当表示とみなされます。「No.1」「満足度◯%」などは、根拠の資料を示せないなら載せないのが基本です。

景品表示法は一般消費者に対する表示を対象としています。相続や確定申告、許認可の申請など、個人の依頼者が見る業務の案内では特に注意してください。


4. 実績と「お客様の声」

ステルスマーケティングの告示

消費者庁は、令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反になると案内しています。規制の対象は、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。

消費者庁の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準は、事業者自身のウェブサイトにおける表示は、通常、事業者の表示であることが明らかなものとして、告示の対象とならない例に挙げています。ただし、次の場合には注意が必要です。

場面運用基準の考え方(要旨)
第三者の意見のように見えるページ専門家や一般消費者などの第三者の客観的な意見のように見えるものの、実際には事業者が依頼・指示して特定の内容を書かせた場合や、事業者が自ら作成した場合は、事業者の表示であることを明瞭にしなければならない
第三者の投稿の引用評判を向上させる意見だけを恣意的に抜き出したり、良い点と悪い点の一方だけを取り上げたりせず、そのまま引用する場合は、その部分だけをもって事業者の表示とはされない
口コミサイトなどへの投稿の依頼事業者が第三者に、SNSや口コミサイトなどに自らの役務の表示をさせる場合は、事業者の表示となる

運用基準は、事業者の依頼で書いてもらったコメントの表示例として、「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」といった表示を挙げています。事務所の「お客様の声」でも、依頼して書いてもらったものなら、その旨を明記します。

顧問先の名前と守秘義務

顧問先の名前や、どのような業務を行ったかを載せることは、士業法の守秘義務(税理士法第38条、社労士法第21条、行政書士法第12条)との関係で慎重に扱う必要があります。載せる場合は、載せる内容を示して顧問先の同意を得て、同意の記録を残します。守秘義務の詳細は顧問先の情報の扱いで整理しています。


5. 問い合わせフォームと個人情報

問い合わせフォームで氏名や連絡先を受け取る場合、個人情報保護法の次の決まりがかかります。

条文定めの要旨ホームページでの対応
第21条第1項個人情報を取得した場合は、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、または公表する利用目的をホームページに公表する
第21条第2項本人から直接書面(電磁的記録を含む)に記載された個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示するフォームの送信の前に利用目的を示す
第32条事業者の名称・住所、全ての保有個人データの利用目的、開示などの請求に応じる手続などを、本人の知り得る状態に置く個人情報の取扱いのページに載せる

フォームには、相談の内容に必要な項目だけを置きます。マイナンバーや詳しい財務の情報を最初の問い合わせで受け取らないようにし、必要になった段階で安全な方法で受け取ります。


6. 公開前のチェックリスト

  • 所属する会の会則と広告に関する規則を確認した
  • 資格者の氏名・資格・所属する会と、登録した事務所の所在地を載せた
  • 資格を持たない職員の肩書きが資格の名称と紛らわしくない
  • 業務ごとの料金と、含む範囲・含まない範囲・追加料金の条件を載せた
  • 「No.1」「最安」などの表示に、根拠の資料がある(なければ載せていない)
  • 依頼して書いてもらった声には、その旨を明記した
  • 顧問先の名前や事例を載せる場合、同意を得て記録した
  • 問い合わせフォームの送信前に利用目的を示している
  • 個人情報の取扱いのページに、利用目的と開示などの手続を載せた

7. まとめ

  • ホームページには、資格者・事務所・業務・料金・問い合わせ・個人情報の扱いを載せ、依頼する人が判断できるようにする
  • 景品表示法は、根拠のない優良誤認・有利誤認の表示と、広告であることを隠す表示を禁止している
  • 自社のウェブサイトは通常事業者の表示と分かるが、依頼して書いてもらった声を第三者の意見のように見せる場合は、その旨を明瞭にする
  • 各士業法の名称の使用制限と守秘義務、個人情報保護法の利用目的の明示を守る
  • 所属する会の広告に関する規則を最初に確認する

表示に関する基準や会則は改正されることがあります。公開の前に最新の案内を確認してください。

参考資料